くまぞう雑記帳

伊福部昭、芥川也寸志、黛敏郎・・・クラシック系日本人作曲家の音楽を愛好しております。

大栗裕「赤い陣羽織」ほか@いずみホール 

〔2008.04.16〕
「大栗 裕の世界」(2008年4月15日、大阪・いずみホール)

曲目:弦楽器のための二章(大栗裕)
    オーボエとオーケストラのためのバラード(大栗裕)
    歌劇「赤い陣羽織」全3幕(大栗裕)

指揮:円光寺雅彦 大阪フィルハーモニー交響楽団
オーボエ独奏:浅川和宏
オペラ演出:井原広樹

参考→当ブログ4月15日は大栗裕三昧ヽ(^o^)丿 オペラ「赤い陣羽織」と管弦楽曲2曲!いずみホールの大阪フィル演奏会 、白石知雄さんの日記から大栗裕「弦楽のための二章」、「オーボエとオーケストラのためのバラード」、「赤い陣羽織」

一曲目「弦楽のための二章」。8型の弦楽合奏。第1楽章、大栗の作品としては少しだけ現代音楽方向に足を踏み入れた感じ。とにかくいろいろなテクニックを要求される、なかなか緊張感に満ちた曲です。第2楽章は「いつもの大栗」。チェロとコントラバスがピチカートで「大阪のわらべうたによる狂詩曲」に出てくるわらべうたによく似た動機を奏で、そこに高音域のヴァイオリンのピチカートが絡んできます。途中「神話」みたいなところもあり、管楽器抜きでも十分に大栗していました。

2曲目はベルリン・フィルのオーボエ奏者ローター・コッホが朝比奈隆を通じて作曲を委嘱した「オーボエとオーケストラのためのバラード」、これが日本初演ということです。曲名にオーケストラとありますが実際は弦楽オーケストラです。旋律などに日本的な要素は大栗作品としては少なめですが、独特のリズム処理が個性を主張していました。独奏者の名人芸がすばらしかった。

こういった弦楽オーケストラのための優れた曲が2曲も埋もれてたんですね〜。

歌劇「赤い陣羽織」。ステージ上の手前のほうにピアノを含む一管編成のオケが陣取り、後方にしつらえたヒナ壇がオペラの舞台。いきなり出てきた孫太郎(おやじとおかかが飼っている馬)が・・・馬には見えん(^_^;) 8段の巨大な脚立(高さ2m40cmくらい)が中央にでーんと居座っていて何だと思いましたが、お代官様が家に来ておやじが階上に隠れるシーンでおやじが脚立の最上部に上る演出でした。管弦楽は控えめに劇の進行をサポートし、ときおり歌とオケの音量バランスや歌手の発声の加減でセリフが聞き取りにくい場面が少しありましたが、この程度なら予備知識のない人がいきなり鑑賞しても意味がわからんということはありません。余計なアリアがないのもオペラ苦手な私のような者にとっては敷居が低くて良いです。

第3幕の代官の屋敷の場面では、前にこのブログでも書いた巨大な赤い「門」、武智鉄二の原演出で使われるアレが(ふだん関西歌劇団の備品倉庫に保管されているのでしょうね)・・・音楽のほうは門番の不気味な音楽などでちょっと自己主張し始めます。CDで聞くときの笑いのポイント、腰元の「は〜い〜」にはやっぱり笑わされた! 
[ 2008/04/16 23:19 ] 大栗裕 | TB(0) | CM(0)

NAXOS盤の大栗裕に(遅ればせながら)ハマる 

〔2008.03.24〕
大栗裕のコンサートの告知記事(→こちら)を書くのにNAXOS日本作曲家選輯の大栗のCD→大栗裕:大阪俗謡による幻想曲、ヴァイオリン協奏曲、他/下野竜也、大阪フィルハーモニー交響楽団を久しぶりに聞きました。買ったのが2003年の暮れ(発売は2002年)だったでしょうか、最初に数回聞いてからは年1回聞くか聞かないかという感じでしたが・・・いいじゃないですか! 自分では日本作曲家選輯の中では下から数えた方が早いという評価だったのが、今回続けて聞いて一気に上位へ進出しました。

天岩戸の神話を題材とする交響詩「管弦楽のための神話-天の岩屋戸の物語による」。アメノウズメの舞を表現した舞曲、かっこいいんですよ。〈符ゲタが小説線をまたぐ箇所をスコアのあちこちに紛れ込ませるややこしいリズム法〉(片山杜秀氏によるライナーノートから引用)、シンコペーション! 思わず伊福部昭の「わんぱく王子の大蛇退治」のCD(→伊福部昭の芸術7)を引っ張り出して「アメノウズメの舞い」と聞き比べてしまいました(伊福部と比較するならむしろ映画「日本誕生」の天岩戸のシーンに付けた音楽でしょうか)。ノリノリ5拍子が続く部分にわくわくします。

「大阪のわらべうたによる狂詩曲」。冒頭の心踊るファンファーレはさすが吹奏楽界のカリスマ作曲家だなと感心。続いて出てくる〈神官が祝詞を独特な節回しで朗詠する様に触発された土俗的な音楽〉(ライナーノートから)の迫力。そしてわらべ歌の旋律の処理が非常に巧みです。洗練されています。浪速のバルトークだハチャトゥリアンだと言われ、片山氏のように〈大栗の音楽。それは耳で聴く大阪である〉と言ってしまうと昨今マスメディアやネット上で流通するワンパターンなコテコテの大阪を連想させちゃってイヤなんですが、大都会である大阪、都会の猥雑さと洗練を併せ持つという意味でやはり大栗の音楽は〈耳で聴く大阪〉というしかないですか。とにかくコテコテ一辺倒じゃないんですよ。大栗は船場の商家の息子ですが、船場といえば「細雪」でしょう。お上品じゃないですか(話があらぬ方向へ・・・orz)

このCD中最もシリアスな「ヴァイオリン協奏曲」。わらべ歌や阿波踊りのリズムといった要素をうまく取り入れながら、非常に深い表現を実現していると思います。こういう曲はもっともっと録音や実演の機会が増えて「決定的な名演」が出てきて欲しいです。

吹奏楽版でも有名な「大阪俗謡による幻想曲」。朝比奈隆が自らの人生を語った「朝比奈隆 わが回想」(朝比奈隆、聞き手矢野暢)からの引用で曲の紹介に代えます。1955年(昭和30年)に朝比奈がベルリン・フィルを客演指揮、この曲を演奏した時のエピソードです。

〈大フィルの大栗裕君にその演奏会のために一曲書いてもらいました。ただし、向こうの希望は、非常にローカルカラーの強いものがほしい。メシアンなんかの焼き直しは、たくさんあるからもう結構、というので、彼が例の『大阪俗謡による幻想曲』というのを書き、〉

〈大栗君は、作曲者の才能はもちろんあるんでしょうが、長年ホルンを吹いていたから、オーケストラの中身をよく知っているので、楽員がやってて面白いんですね。一遍だけ通そうといっても、そんなに難しい曲じゃありませんから、ベルリン・フィルほどのオーケストラなら初見で通るわけです。済んだら、みんな立ち上がって「ブラボー!」と言いましたからね。〉
[ 2008/03/24 00:55 ] 大栗裕 | TB(0) | CM(2)

4月15日は大栗裕三昧ヽ(^o^)丿 オペラ「赤い陣羽織」と管弦楽曲2曲!いずみホールの大阪フィル演奏会 

〔2008.03.22〕
大阪フィルハーモニー交響楽団公演「大栗 裕の世界」(2008年4月15日、大阪・いずみホール)

曲目:弦楽器のための二章(大栗裕)
    オーボエとオーケストラのためのバラード(大栗裕)
    歌劇「赤い陣羽織」全3幕(大栗裕)

指揮:円光寺雅彦
オーボエ独奏:浅川和宏
オペラ演出:井原広樹

配 役(関西歌劇団):
おやじ/林誠
おかか/中井理映子
お代官/阪上和夫
奥方/河邉敦子
庄や/佐藤彰宏
子分/清原邦仁
孫太郎/富永奏司

参考→コンサートのチラシ(関西歌劇団HPより)

大栗裕(1918−1982)は大阪出身の作曲家。関西交響楽団(現大阪フィル)のホルン奏者として活躍する傍ら作曲を志し、1955年にオペラ「赤い陣羽織」で作曲家デビュー。代表的な管弦楽作品は天神祭りのチャンチキや生国魂さんのお囃子を取り入れた「大阪俗謡による幻想曲」。オペラも歌劇「夫婦善哉」など多数、吹奏楽版「大阪俗謡による幻想曲」など日本の吹奏楽界のスター作曲家でもある。民族主義的な作風で「浪速のバルトーク」「浪速のハチャトゥリアン」と呼ばれる(どうしても浪速のモーツァルトの人を連想してしまって困る・・・)

「赤い陣羽織」は木下順二作で、アラルコンの短編小説を元とするファリャの「三角帽子」を翻案したものです。冴えない農夫のおやじの女房(おかか)に懸想した代官が農夫宅に忍び込んでおかかをものにしようとするが、おかかに殴られて代官は気絶。おやじは代官の赤い陣羽織が脱ぎ捨ててあるのを見て代官が思いを遂げたと誤解、陣羽織を着こんで代官の屋敷へ向かう。それを知った代官はおやじの小汚い服を着て帰宅、さらにおかかも邸へ・・・代官とおやじの姿が入れ替わることで生じるギャグが秀逸な笑劇です。

私は朝比奈隆追悼盤として出たこのCD(→朝比奈隆指揮大阪フィル:歌劇「赤い陣羽織」、現在は入手困難)で聞きました。オペラが苦手な私でもOK、新喜劇の乗り(?)の楽しい作品です。参考→鎌倉スイス日記:大栗裕の「赤い陣羽織」を聞く

もともとの演出は武智鉄二で、上に挙げたCDのリンク先のジャケット写真を見てもらうと「門」という文字の形そのままの真っ赤な「門」が舞台上に据え付けてあるのが分かりますよね。武智演出はけっこう奇抜そうですが、今回は関西歌劇団で近年手がけている井原広樹氏による演出となります。

武智鉄二と関西歌劇団については白石知雄さんの文章が参考になります→仕事の日記:武智鉄二と関西歌劇団(『民族藝術学会会報』第72号)

関西歌劇団 50年のあゆみ
にも朝比奈と武智、「赤い陣羽織」についてのエピソードが。

このコンサートでは大栗の「弦楽器のための二章」「オーボエとオーケストラのためのバラード」という2曲の管弦楽曲も演奏されます。これらの曲については全く予備知識はありません。大阪フィルのHPやコンサートのチラシにも全然情報がない(>_<) 2、3行でいいから何か書いてくれればいいのに。オペラファン、関西歌劇団の固定客以外の層に宣伝する気ないのか?? 絶対面白いって! チケット余ってるみたいです。皆さんもぜひ。

(追記:白石さんのびわ湖ホール次回公演への周囲の眼差しと、1955(昭和30)年当時の関西歌劇団第一回創作歌劇「赤い陣羽織」(大栗裕作曲)への周囲の眼差しを比較してみるという記事にコンサートの情報あり。「弦楽器のための二章」「オーボエとオーケストラのためのバラード」は〈「へぇ」と思ういきさつがあって生まれた作品〉なんだとか)

(2008年4月4日追記:上のほうで示した大阪フィルHP中のこのコンサートの案内→「大栗 裕の世界」に弦楽器のための二章、 オーボエとオーケストラのためのバラードの情報が追加されていました。「オーボエの・・・」はベルリン・フィルの名手ローター・コッホの依頼による作曲だとか。参考にして下さい)
[ 2008/03/22 10:21 ] 大栗裕 | TB(0) | CM(0)
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